1.総原価が分からなければ販売価格が決定できない
損益計算書的に考えれば
「総原価とは製品当たりの製造原価と販売管理費の合計」
と言うことになるでしょう。
しかし、原価計算では
総原価=加工高+販売管理費割当額+原材料費+外注加工費
のように分解して考えなければいけません。
次に、製品一個あたりの原価を求めるためには
製品一個当たり原価=総原価÷生産数
となります。
したがって製品一個あたりの販売価格は
製品一個当たり販売価格=製品一個当たり原価+予定利益
となります。
つまり、
「総原価が分からなければ販売価格が決定できない」ことになります。
そのためには、加工高と販売管理費割当額を求めなければなりませんが、
これらの求め方については、
販売価格と原価計算で詳細に説明していますので参照してください。
この原価計算方法による販売価格の決定は、
コストを積み上げて販売価格を決定することになります。
しかし「販売価格を原価計算の結果により決定するのは正しくない」で
販売価格は、市場の動向によって決定されるものであり、
原価計算の本来の意味は、
(1)市場の動向により決定された販売価格は、必要利益を満たしているかどうかを検証し
(2)必要利益を満たしていなければ総原価を操作する
ということでした。
コストを積み上げただけの総原価を求め、利益を加えて販売価格を決定しても
市場=顧客や消費者が望む価格にはなり得ないのです。
もし適正な販売価格があるとするならば、
その販売価格から必要利益が獲得できるように総原価を操作するのが、
原価計算の持つ意味であると思います。
次回は、
どのように総原価を操作すれば必要利益を満たすことができるのか
について説明したいと思います。
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