【利益を増加させる経営】 

借入金で建物を取得する時は資金繰りに要注意





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 借入金で建物を取得すると資金繰りが悪化する

1.建物の耐用年数は長いので減価償却期間が長い


建物耐用年数は、構造と用途により違いますが
他の減価償却資産と比べて、かなり長くなっています。

耐用年数が長いと言うことは、減価償却期間が長いと言うことになります。


例えば、木骨モルタル造の店舗の耐用年数は20年。

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造になれば、店舗は39年、
また、工場ならば38年、事務所に至っては50年となります。


その他の減価償却資産は、
機械ならば、3年から15年。
軽自動車なら4年、社長の社有車(例えばベンツ)ならば6年、パソコンなら4年、
となっていますので、建物の耐用年数、つまり減価償却期間は非常に長くなっています。


資金繰りが苦しくならないための黄金公式
必要利益>(借入金元金返済額+納税額−減価償却費)
でも分かるように、年間の減価償却費の大小は、必要利益の大小に影響します。

減価償却費が大きくなれば、必要利益を小さくすることができ、資金繰りが楽になります。
減価償却費が大きいためには、減価償却期間が短い方が有利になります。

しかし、減価償却期間は、税法で耐用年数が定められているため
勝手に短くすることはできません。

したがって、必要利益を小さくする、つまり、資金繰りを楽にするためには、
借入金元金返済額を、小さくすれば良いことが分かります。



2.借入金で建物を取得する時は借入返済期間を長くすると資金繰りが楽になる


借入金で建物を取得した場合、減価償却期間が長いので
できるだで、借入金元金の返済期間を長くしないと
キャッシュフローが悪化して、資金繰りが苦しくなります。


資金繰りが苦しくならないための黄金公式は、
必要利益>(借入金元金返済額+納税額−減価償却費)
(減価償却費+必要利益)>(借入金元金返済額+納税額)


ここで、利益が0円か赤字ならば、一部を除き納税額は発生しませんから
減価償却費>借入金元金返済額
と言うことができます。

この公式を、 借入金返済期間と減価償却期間の関係で考えてみます。

・借入金元金返済額が長い方が、1年の借入金返済額が小さくなる
・減価償却期間が短い方が、1年の減価償却額が大きくなる


減価償却期間<借入金元金返済期間ならば、資金繰りが楽になる
と言う公式が成り立ちます。

借入金返済期間が減価償却期間より長くなれば
キャッシュフローが改善され、資金繰りが楽になるわけです。


しかし、建物を借入金で取得する場合に、
減価償却期間より長い年数での借り入れは、難しいのが現実です。

そこで、できるだけ資金繰りを楽にするためには
できるだけ、借入金返済期間を長くする必要があります。



例えば、鉄筋コンクリート造の店舗を3900万円で、全額借入金で取得しました。
耐用年数は39年で、建物の減価償却は定額法と定められていますので
毎年の償却額は、100万円となります。

借入金返済方法は、元金均等払いとして
39年返済が可能ならば、元金返済額は、100万円となり
減価償却費と同額ですから、資金繰りは楽になりますが、現実的ではありません。

しかし、安易に5年返済でもしようものならば、毎年の返済額は、780万円となり、
減価償却額−借入金元金返済額=キャッシュフローにより
100万円−780万円=−680万円
これだけの要素で、資金繰りがかなり苦しくなります。


また、信用保証協会の設備資金は、最長で20年の返済が可能です。
この場合、毎年の元金返済額は、195万円となり、
キャッシュフローは、100万円−195万円=−95万円ですから、
資金繰りに与える影響はそれほどでもありません


しかし、新店舗を出店するのですから、
以前より売上が増加し、相応の利益も増加するはずです。

したがって、資金繰りが悪化しないだけの利益を獲得できれば
借入返済期間が10年でも、問題ないはずです。


この場合、毎年の元金返済額は、390万円となり、
キャッシュフローは、100万円−390万円=−290万円となりますが、
これくらいで資金繰りが苦しくなるような経営では、新規出店などしない方が良いでしょう。


さて、鉄筋コンクリート造の店舗でシミュレーションして見ましたが
もし、木骨モルタル造の店舗ならば、耐用年数は20年になります。

取得金額も、引き下げることができます。
例えば、取得価格が3000万円で、全額を返済期間10年で賄ったとします。

毎年の減価償却費は、150万円、毎年の返済額は、300万円となり
キャッシュフローは、150万円−300万円=−150万円となります。

鉄筋コンクリート造の場合に比べて、資金繰りはずっと楽になります。


店舗などは、外部環境の変化で、いつ撤退になるとも限りません。
無理して過剰な投資をするより、できるだけ最小限度の投資額に留め
撤退に際して、あまりも過剰な借入金残高だけが残ったりしないよう
バランスを持って、投資額、借入金額、返済期間を決定するのが良いでしょう。



さて、新規出店などがある場合、突然の思い付きであるはずがありません。
来期の経営計画、予算に反映されていなければなりません。

特に、予算では、借入金返済額の増加と、減価償却費の増加により
必要利益が、どのように変化するのか
、シミュレーションして、予算を決定します。

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